研究協議会の会報創刊に寄せて

海外子女教育振興財団 専務理事 藤 本   司

1号発刊への祝辞(1978年10月1日発行)

 伊藤民男会長,伊藤勉事務局長両先生が,財団に見えられ「海外勤務を終えて帰国された先生方の会を作りたいが」とのご相談を受け,大いに賛意を表したのは,ついこの間のように想起されます。

 昭和五〇年一月と八月に二回,東京で全国大会がもたれ,「帰国教師の会」と名付けられ,会則等が正式に決められたのは八月大会だったと記憶しています。その後,年一回大分,東京と続き,今年は大阪で第五回大会が開催され,会名も「全国海外子女教育研究協議会」と改められ,明年は北海道での開催が決定したと承っています.私も毎回ご招待を受け出席していますが,何時の間にか,楽しみとなり,親近感の深まりを覚えて来ています。

 海外子女教育の問題は,今後益々重要性を増すことは明らかですが,最近関係各方面により,国の教育全般の視点から,対策の緊要性が再認

織されて来た事実は,見逃し得ない大事な点であります。その一端に携わるものとして,ご同慶のいたりに存じます。

 先生方は,所謂国際理解教育の実践者であり経験者であります。この貴重な体験を,荒廃が叫ばれて久しい国内教育の現場で活用しない手はありません。若し徒費する者ありとせは,国益に添わず,教職者の資格なしと断じても過言ではないでしょう.

 帰国教師が毎年二〇〇名に達するのも間もないことでしょう。この協議会が中核となり益々内容を充実し,実力を発揮されることを期待いたします。

 この時に当り,協議会が独自の会報をもち会員相互の連携を強化すると共に,関係各方面との連絡に資する企画は,誠に時宜を得たものとして,満腔の賛意を表すると共に,本会発展の有力な媒体として,順調に成長することを衷心より祈念いたします。