第二十三回全国大会 (佐賀大会)総会を終えて

                        会長 和 賀 満 男

54号巻頭言(1996年7月20日)

 第二十三回全国海外子女教育・国際理解教育研究大会,第一回九州ブロック研究大会は,平成八年八月一日,二日,全海研総会は,八月二日に佐賀市文化会館において開かれました。

 残暑厳しいなかでしたが,全国より多数の参加をいただき,とどこおりなく終了することができました。文部省をはじめ,外務省,海外子女教育振興財団,佐賀県教育委員会,佐賀市教育委員会そして,全海研の会員の方々のお力添えとご支援に対し,まずもって厚くお礼を申し上げます。

 大会をふり返りますと,学んだこと,反省すべきことなど多々浮かんできますが,つまるところ感謝の念につきます。とくに,理事会においての講話(「全海研に期待する」)と分科会においての指導・助言をお引き受けいただきました文部省海外子女教育課長磯田文雄先生,記念講演(演題「異文化共生社会の教育課葛〜国民教育から普遍的人間教育〜」)において今日的課題をお話しくださった九州大学の江淵一公先生,さらに文部省教科調査官の嶋野道弘先生,相澤秀夫先生,そして,東京学芸大学の佐藤郡衛先生にもご指導していただく機会を得,かつてない画期的な大会にしていただいたこれら諸先生方のご厚情に村しここに改めて感謝申し上げます。

 本大会のテーマ「世界の人びとと共に生きる子どもの育成「コミュニケーションカの育成をとおしてとは,時同じくして中教審第一次答申のキャッチフレーズ「生きる力」とも合致し,三十九本の提案は,この理念を踏まえ,多文化共生社会での「生さるカ」をどう培っていくかという姿勢に立った,すぐれた実践内容でした。また,各分科会においても研究協議会の名にふさわしい熱気溢れる討議がなされていました。

 さらに,本大会は第一回九州ブロック大会を併せたものになり,従来開催していた北海道,関東,中部,近畿,中・四国の各大会に九州が加わることによって,本会の研究も全国に広がりつつある状況になつてまいりました。このことも関係者の方々と共に喜びたいと思います。

 さて,全海研は,会発足以来二十一年経過しましたが,研究団体としてさらなる質的向上と同時に,昨今の本会を取巻く社会状況の変化に対応すると共に,本会組織が現在抱えている課題を改善するために,今回組織整備を図ることにし,この度の理事会・総会で提案し皆様に承認していただきました。

今回の組織整備の目的の第一は,これまでの全海研の活動を踏まえ,組織の活性化と充実を図り,各都道府県組織・文部省をはじめ東京学芸大学海

外子女教育センター等関係機関との組織的連携を一層推進するものです。連携の推進は,今後の日本の学校教育において求められている「多文化共生社会を生きる力」を育むことや海外子女教育にこれまで以上に寄与していくことをめざしています。

 そのために,本部組織を五つの事業制(企画・運営事業,組織・情報事業,出版事業,研修事業,研究事業)にし,活動が円滑で効果的に推進できるようにしました。

 第二は,各都道府県組織との連携をより深めようとするものです。各都道府県組織及び会員の研究・研修活動を積極的に支援・コーディネートし,センター的役割を果たすことです。

 例をあげるなら,本部が助成団体から受けた研究事業等を各部道府県組織に紹介し委託したり,関係諸機関の事業の講師等に会員を推薦したりすることです。

 また,出版事業においては,実践事例集等の出版物を通して,会員の貴重な実践を広く紹介し,研究活動の支援を推進できるようにします。

 そのために,各都道府県組織に協力していただきたいことは,出版・研修・研究の各事業に通信幹事を推薦していただくことです。通信幹事を窓口に本部の各事業と都道府県の情報交換を密に行い連携を深める要になっていただきたいのです。

 第三は,研究・研修活動の充実をより図ることです。本会は従来より国際理解教育に積極的に取り組んできました。

 また,海外子女・帰国子女・外国人子女教育についても全国大会での分科会や紀要に取り上げてきました。今後は,これらのジャンルについても実践研究の推進に積極的に取り組みます。

 さらに,本会に派遣教員経験者が多い特性を持つことから,海外子女教育への貢献が期待されております。例えば,派達希望者講習や派遣内定者に対する助言,在外教育施設派遣中の教員に対する実践の支援活動です。

 第四は,本部と各都道府県組織とのこれまで以上の密接な関係を築くためと,また,事業等の委託が効率よくできますよう,会費同時納入を推進していきたいと考えています。事情ご賢察の上ご協力をお願いたします。

 今回の組織整備は,本会の発展と充実を期すものであり,本部と各都道府県組織が手を取り合い,これまでの研究・実践の成果を踏まえ,よりよい改革の推進・発展ができるものであると考えております。