2 国語の授業、ここが難しい ◆アンケート結果から見る指導上の課題 1 図書(一般図書・辞書)や教材(特にビデオ・CD)が入手しにくい。[実際に報告されている事例] ・ビデオ・テープ・ CDが少ない。(海外に行ってはじめて気づくことが多い。) (バハレーン・マニラ・ロッテルダム・ダッカ・パリ) ・特に日本の情景や季節の変化を鑑賞したり、「かぐや姫」や「猿蟹合戦」などの定番 で日本語の導入に使えるものが必要である。(バンコク・マニラ) ・資料、教材が少ない。(古典・短歌・俳句・名言集など)(アムステルダム・ベルリン・ サンホセ・北京) ・図書が少ない。特に中学生対象。(ハンブルグ・アムステルダム・イスラマバード・ミラ ノ) ・作文指導や調べ学習で困難を生じる。 ・百科事典がほしい。(ドーハ) ・国語辞典・漢和辞典が足らない。(チューリッヒ・ベルリン)
2 日本独特の季節感・情感を体験できない。言葉の背景にある文化や自然、習慣などを理 解させにくい。 [実際に報告されている事例] ・季節感の指導が難しい。特に俳句や短歌、詩の指導で。(マニラ・バンコク・ドーハ・ ボンベイ) ・季節の変化のない地域(ボンベイ)や日照時間の違い(ブリュッセル)など。 ・わらぐつを見せることができない。(高雄)
3 日本語が生活空間に少ないために基本的な日本語能力や語彙が不足しがちになる。 [実際に報告されている事例] ・日本語に触れる環境が少ないために起こる語彙力の不足。(バンコク・高雄) ・在留年の長い子供の日本語能力の問題。(バンコク・リマ) ・日本での生活経験がないために、日本独特の言葉を理解しづらい。(バンコク)
4 どのような教具や道具が入手困難なのか。 [実際に報告されている事例] ・書写道具や半紙が入手しづらい。(メダン・バンドン・パリ・ミラノ・ハンブルグ) ・半紙個人で取り寄せたり(ハンブルグ)、学校で日本から輸入したり(マニラ)、赴任 教師に持参してもらっている。 ・1年生の国語ノートが現地ノートでは使いにくい。(ソウル) ・ひらがなや漢字指導に使うマス目黒板が手に入らない。(デュッセルドルフ・マニラ) ・掛け図がないので(ロッテルダム)、手作りで対応している。特に低学年。(ソウル)
5 副教材・ワークブックを選んだり、入手するときに問題がある。 [実際に報告されている事例] ・教科書改訂の際、準拠した問題集が入手しづらい。(ハンブルグ) ・ワークブックなどが届くのに時間がかかる。4月注文が7月入手になることもある。(ニ ューデリー) ・見本がないので、選びにくい。(ハンブルグ) ・本年度は、東南アジア諸国で関税がかけられ、結局、日本への返送になった。
6 少人数学級での指導の難しさがある。 [実際に報告されている事例] ・複式授業で行うので、作業の振り分けや進め方が難しい。ワークブックの利用が多 いが、うまくいかないという声がある。 ・少人数なので、話し合いでも意見の対立や深まりがない。教師がわざと反対意見を 言うと、今度はそれに引きずられる。(イスラマバード)
7 両親のいずれかが(あるいは両方)外国人である児童生徒の国語指導をどのように行え ばよいか。 [実際に報告されている事例] ・海外での在留期間の長い子供や日本での生活経験のない子供が日本の季節感を 理解しにくい。 ・現地人との混血児童生徒の言語問題もある。アジアに多く、マニラなどでの実践が ある。 |