第1分科会 人間理解・人権
司会者 櫻井敬明
1 分科会概要
久世町立遷喬小学校6学年の総合学習の取り組みの
報告を基に参加者によって討議された。
(1)実践報告の内容
相手を思いやることができなかったり,自分に
自信がもてず,自分との違いをが認められなかっ
たりする児童の実態と急速な国際化の中,欧米中
心の価値観で,近隣のアジアの国々には目が向か
ない社会の実態を踏まえ単元(共に生きる 〜地球市民として〜)を設定した。
学習活動の流れ
@もののふるさと調べ(アジアとの繋がりに気づく。)
↓
Aアジアのことをもっと知ろう(自分や周りの大人は,アジアの国々についてど んなイメージをもってるか。)
↓
B調べたことやイメージは合っているか(近くにいるアジアの人にきてもらう。)
↓
C話を聞き,いろんな事を教えてもおう(料理・遊び等,日本で暮らして思うこ
と,生きる上で大切にしていること。)
↓
D気になることができた(気になることをよりはっきりさせるために人と出会う)
↓
Eグループで協力して調べよう
↓
F今まで出会った人に確かめよう
↓
G調べたことを発表し,討論しよう
↓
H自分の生き方を見つめ直したり,自分にできることを考えたりして行動に移そう。
(2)討議された内容
顔の見える出会いが,いかに大切であるかということを確認した。在日コリアンとの 直接の出会いから在日コリアンが直面している差別などの現実を知り,足下の課題に気 づいていく。学習活動の流れのDの「気になることができた」から,児童の本当の学習 が始まると言える。それについて調べていく中で在日コリアンとして誇りをもって生き ている人の考え方や生き方を知り,その課題は決して自分たちと無関係ではないことに 気づき,今まで自分たちがあたりまえと思っていた考え方や価値観が揺さぶられる。そ こから「今までの自分の生き方はどうだったのか」「共に生きるにはどうすればいいのか」 を考えていく。そのことをきっかけに,自分にも自信や誇りをもち,友達との関わり方 や周りの人とのコミュニケーションの仕方など今までの生活を見直し,変えていくので はないか。さらに,共に生きる社会の現実のために地域で自分たちのできることを見つ け,行動できるようになっていくのではないか。
2 参加者の感想
○はっきり見える顔があったので,児童が課題を
をもって進んで学習に取り組んでいる。
○児童の人権意識が高いのは,日頃の指導がある
からではないか。
○自分の身近なところから人権の問題を見つけ,
自分の生活に還元していくことが大切。
○人権の学習をしたことは,すぐに役に立たなくてもよい。将来,いつの日か生活の中で生きてくるものだ。
○「学習後に自分のできること」とは,交流会や発表会をすることだけではなく自分の 中にある外国を自分の中に持ち続けることや自分の家族に自分の変わったことを伝え るように,教室で学んだことを家族や地域に伝えていくことなどが考えられる。
○誠意ある対話をしていく必要がある。遷蕎小の取り組みのように,自分の思いを語り, 気になることを発表していくことは,まさに,国際理解教育のねらいの一つである, 自分の意見の言える日本人の育成になっている。