第5分科会「外国語教育」
1年生から始める英語活動
発表者 御津郡御津町立御津小学校
難 波 朱 美
1.御津小学校は,どんなところ?
2.1年生の英語は,こんなに楽しい。
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・たっぷり聞こう。 ・たっぷりしゃべろう。 ・覚えようとしなくていいんだよ。 ・楽しく歌おう,踊ろう。 | |
・聞いた音をすぐに真似する天才たち。 ・繰り返しが大好き。
・「人は,聞くことのできる音しか発音できない。」トマティス博士
・脳の発達から考えると・・・。
3.英語の先生ともっと仲よしになろう。
・ビデオレター ・休み時間や給食の時間 ・give and
take
4.何を,指導する?
・年間10時間の計画(年間指導計画) ・文法的な難易は,考えない。
・子どもたちのつぶやきやアイデアで変幻自在
5. 誰が,どのように指導する?
・授業のタイプ A,B,C,D,E
A B
C D E
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HRT |
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ALT
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H R T |
A L T |
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HRT(15) |
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HRT STU
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ALT |
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HRT(15) |
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Welcome Fruits Animals |
HRT(15) |
Christmas& |
Numbers Happy
Birthday
・学習指導案
HRT・・・担任 ALT・・・ネイティブスピーカー
STU・・・児童
・授業の記録(VTR)
6. 何を使って指導する?
・教材,教具
・情報交換
・教師のネットワーク
7. いま,目指しているものは?
・HRTの役割
・HRTの英語使用(Class room English)
・英語を使うチャンス
第5分科会 1年生から始める英語活動
記録者 冨谷 忠明
1 分科会概要 (発表者・司会者・助言者 参加者21名)
発表者難波先生から,『1年生から始める英語活動』というテーマで,1年生の特性や 音・リズムに対する感性,ALTに任せるだけでなくHRT(ホームルームティーチャー) が工夫した英語活動の実践発表が行われた。
2 質疑・応答・協議
〈質疑〉英語活動を実施する上で,1年生
と他の学年を比較してみてどのよう
な違いがあるか。
→他の学年と比べて,音を聞き取る
能力が高く,恥ずかしがらないの
で活動に対して大変興味を示す。
〈質疑〉英語活動の系統性はどのようにしているか。
→1・2年生の流れはできているが,他の学年のことはよくわからない。
系統性は必要なので,実践を記録に残して行くことが大切である。
1年生では,身につけさせることよりも,体験させることが大切である。
〈質疑〉英語活動で,何か良いあいさつgreetingの工夫がないだろうか。
→歌で始めて,歌で終わるgood bye
song という工夫もある。
〈質疑〉ALTとの打ち合わせはどのように行っているか。
→打ち合わせは,月2回学校に来られたときに行う。これ以外にEメール,
FAXで行うこともある。HRTが中心になるときには,こんな単語を使いたいと いうことや,授業の中で,やって欲しいことを遠慮せず伝える。
〈質疑〉職員の中にも,英語の得意・不得意があり,引いてしまう先生もいる。何か良い方 法はないだろうか。
→楽しい活動内容をビデオなどに撮ってデモンストレーションをすることも一つの方 法である。ALTに任せておけばよいと思っている先生もいるので,意識改革が必要 である。そのためには,自分が授業を行って,見てもらい活動の楽しさを伝えること が大切である。
〈質疑〉英語活動の年間計画をどのように立てているのか。ALTが立てているのか。
→1.2年生は,発表者の難波先生が計画している。
〈質疑〉年間計画や系統性のある指導計画をどのように立てているのか。
→今は,系統性はあまり考えなくてもよいのではないか。低学年は,英語に慣れ親し むことでいいのではないか。ある程度,表現力やコミュニケーション能力を高めよう としたり,教科的な扱いをすると系統性が必要となる。中学に入学するまでに,英語 嫌いをつくってはならない。やってみてこんな活動ができる,この活動が子どもに合 っているということを探りながら,次の学年に伝えていけばよいのではないか。
〈質疑〉英語は言葉なので,継続的な活動や指導が必要ではないだろうか。
→低学年は,慣れ親しむことや繰り返しを中心に活動できる。しかし,高学年では, 慣れ親しむことだけでは活動が難しくなる。文字を交えたりしながら達成感を与える 工夫が必要となる。
〈質疑〉“小学校での英語教育は何なのか”をもう一度考えなければならないのではないか。 日本人は6年間も英語を学習するが,しゃべれない国民で世界でも希である。韓国で は,韓国人の先生が英語の研修を受けて,子どもの指導に当たっている。“小学校6 年間で英語教育”をどのように行えばよいだろうか。
ここで分科会の終了時間がせまり,助言者から指導を受けた。
3 助言者からの指導
来年度から岡山市では10年研修と同時に英語の教師の研修が始まる。読み書き中心の英語から話せる・聞ける英語に転換を図るためである。
助言者自身,三年間のイギリス滞在で,耳から聞く・話せる英語を経験していなかった事を実感した。
仕事や旅行をする上では,英語は必要条件となり本気で学習することになる。しかし,小学生には英語を学ぶ必要条件はない。目的や興味・意欲・関心の態度がまだ育っていない段階である。したがって,小学校1年生では楽しい導入が大切である。これは英語以外の言語でもよく,身の回りに日本語以外の言語があるという認識を持ち,その言語に親しむことが大切である。
物ごとを学習する上で『9歳の壁・10歳の壁』(抽象概念ができるかどうかの境目)がある。これ以前に学習したことは,記憶として定着しにくい。間断なく外国語の発音・リズムが耳に入り,記憶回路形成ができると継続定着する。
5年生になると日本に子どもを返す企業の人も多いと言われている。これ以上その国にいると英語は上達するが,日本語が下手になるからである。
幼少時に経験する英語は,語学として身につけようとするのではなく,英語を楽しみ,コミュニケーションの手段ととらえ,さらに外国人に対する親しみを育てるという国際関連的な面で英語の活動を進めていけば良いのではないか。英語活動の継続・系統性や年間計画という難しい問題もあるが,子ども達がいやがらずに楽しみながら取り組める英語活動ができたらいいのではないか。
4 今後の課題
“小学校における英語教育”はどのようあるべきか,
“継続・系統性や年間計画”をどのように立てるべ
きかが,今後の課題としてクローズアップされた。