【講演】
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演題「アジア(主として東アジア)の視点から見た私たち日本人の暮らし |
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や生き方」 |
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講師 吉備国際大学 臼井 洋輔 教授 |
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高校の教員から博物館へ。リアクションの無い,暗い世界だったが,博物館で発見があった。ーモノに問いかければ答えてくれること。
何でも実体験が大切である。視点を変えてモノが見えるようになる。日本人は本当に日本をよく知っているか考えてみたい。アジアの視点からthinking backしてみたい。
1 視点こそ論点
人間,国家には視点がいくつかある。固定概念にとらわれてはいけない。
歴史的に,日本固有の文化と思っているものが,そうでないものが多い。弥生時代の壺の模様に龍の絵が描かれている。(龍はいなかったはず。)シナイ半島の壺の唐草模様とよく似ている。墓,戒壇,ねずみ返しなど共通点を持つものが多い。
視点を変えていくことが学問には大切。
茶は中国から来たが,茶の作法は中国にはなく,ヨーロッパの文化につながっている。
大和撫子は女性の貞節の象徴だと考えられているが,武士道につながっている。
6〜8世紀 日本と韓国は同じ言葉を使っていたのではないかという説がある。当時のモノの名前が共通している。
鋸,鉋,包丁などヨーロッパと使い方が異なる。どちらが正しい,いいとか決まらない。食文化の違いや木材の堅さのちがいが根底にある。
多様に視点,共通性に気づくことが大切。
日本だけ考えていてはいけない。アジア人の視点を大切に。
2 アジアの視点が欠如した時
秀吉は無知なために,明を攻めたくて朝鮮出兵した。自分を知らない,日本を知らない象徴的なことである。当時中国から日本に入ってきたモノは34品目,逆に日本から中国に入っていったモノは3品目だけ。(銅・鉄・やかん)
日本の競争力は世界1位から今は26位まで落ちた。日本の凋落である。一人あたり(赤ちゃんから老人まで)700万円の借金をしているのと同じ。5年後に破綻すると言う人もいる。
多くのアジアからの留学生が日本を嫌いになって帰国する場合が多い。
緑の豊かな日本人が緑のない中近東・アフリカに価値観を押しつけることはできない。勝手な振る舞いは慎むべきである。
グローバルスタンダードの考えを危惧する。視点の固定化は危険。価値観の多様化ではなく,一本化に向かっているのではないか。
3 こんなはずではなかった?日本
経済先戦争で2度目の敗戦。中国が成長しているが,土地が国有なのでバブルの崩壊は無い。「日本からもぬ学ぶべき事は無い。」とも言う人がいる。中国人は都会で稼いで,またいなかへ帰る。クッションが存在する。日本人はいなかに帰らない。
アジアとの連携が必要である。
4 アジアの視点で取り戻したとき見えるもの
@人間はどこから来て,どこへ行くのか。
100年経っても答えがでない。
A縦の歴史と横の歴史
日本の縦の歴史だけを考えず,東アジアを見て横 の歴史を考える必要がある。
日本の文化はヨーロッパでは根付かない
激変は人間にとってチャンス。
Bアジア人は優しい
アフリカでのけんかを見て,アジア人の優しさを感じる。
釈迦の発想 苦労から優しさを感じる。
視点のチェンジで便利さとか環境問題が考えられるようになる。幸せは物量や権 力ではない。
日本人が文化にかけるお金はフランス人の100分の1
見えないモノ,コトの大切さ,真実や真心は目に見えない。
5 文化的つながりと連帯
黒潮が流れる国々に存在するゴンドラ型のカヌー。ランユー島(タイ),バリ(インドネシア),フィリピン,日本の各地で出土。
バリのバロンダンスと日本の獅子舞は似ている。バロンダンスにはストーリーがあるからルーツであろう。
エジプトの石棺と日本の石棺,ブータンの人々と日本人の顔,アメリカのゴンゴレと銅鐸 皆よく似ている。
今の人間が世界を一番知っているわけでなく,はるか昔から世界は密接につながっていた。
6 見えないものを見抜く視点と時代
日本人はアジアの中で考えるとよこの歴史が見えてくる。 thinking back が必要。
人間は神様にはなれない。よりアジアと協力して生きていきましょう。
(記録者:岡山甲浦小学校 教諭 服部 誠)