「デュッセルドルフ日本人学校の3年間」     岡山市立牧石小学校                                教諭  池上 純治
                 
  「デュッセルドルフ」と言われても,どこにあるのかピンとこない人がいるかも知れませんね。ドイツの北西部,ケルンの北にあるライン川に沿った人口60
万人ぐらいの商業都市です。ノルトライン=ヴェストファーレン州の州都になっています。このデュッセルドルフの周りには約6000人の在留邦人が住み,日本人学校には小学部約500人,中学部約150人が在籍し,昨年度からヨーロッパ最大の日本人学校になりました。学校の施設面も充実しており,日本の学校をそのままドイツに持って来たという感じです。
 日本人学校では,日本と同じ教科・領域の学習をしていますが,全学年週2時間のドイツ語や5年生以上は英会話の授業が加わります。日本との大きな違いは小学校では現地素材を教材化した地域学習や社会見学や図工の作品づくりです。特に生活科や理科での植物栽培や採集・飼育活動は非常に困難を極めました。なぜなら気候のせいで植物が育たなかったり虫や魚がいないのです。3年間セミの声を聞いたことはありませんし,メダカも見かけませんでした。行事では,ライン川を歩く会・運動会・遠足・学校祭などがありました。
 現地校やスポーツ(サッカー)の交流や親善活動も盛んで学校全体では年間約50〜60回程度あります。特に昨年は「ドイツにおける日本年のフィナーレ」ということで日本から御輿が来たり,花火大会があったり,日独共演のコンサートに参加したり……。また,日本クラブが中心になって習字や太鼓や盆踊りなど日本のいろいろな文化をドイツの人達に紹介したりしました。日本人学校の児童・生徒はもちろん教職員も参加しました。初めて担いだ御輿があんなに重くて肩が痛くなるとは思いませんでした。
 ドイツでの生活について述べたいと思います。治安は非常によく,バスや電車(地下鉄)で通学している子も大勢います。我が子も行きは自分の運転の車で一緒に登校していましたが,帰りは一人でバスで帰っていました。物価も日本に比べると17%の消費税が含まれているのにもかかわらず全体的に安いです。パン1個約10円,ビール1本(500ml)約60円(ビール大好きの私にとっては天国でした),ジャガイモ5s約200円。しかし,ガソリンは1g約130円,タバコは1個約330円と割高でした。ドイツ人は収入の約4割を税金として納めており生活は質素で,決まりを非常によく守ります。車を運転していても信号無視などはまずありませんし,車線変更なども必ず入れてくれます。最初は言葉はもちろん,何もかも初めてのことばかりで大変でしたが,慣れてくるにしたがって日本よりも段々と住みやすくなってきたように思います。本当にあっという間の3年間でした。