「ボンベイ日本人学校での教育」          湯原町立二川小学校
                                教諭 綱島 弘通
 「インド」と言えば,カレー,ゾウ,宗教などがすぐに頭に浮かんでくると思いますが,実際に生活してみて思ったことは,「祭り」が頻繁にあり,インド人はみんなお祭り好きです。そこで,テーマは「祭り」にしたいと思います。 
 インドにはいろんな宗教の人が住んでいるので,宗教ごとにお祭りがあり,年中お祭りをしている感じです。
 私の住んでいたムンバイで特に賑やかだったのが,「ガネーシャ」のお祭りです。「ガネーシャ」とは,ヒンドゥー教の神様の中でも有名なシバ神の息子で,『富・お金・子宝』などを司る神様です。たくさんいるヒンドゥーの神々の中でも特にガネーシャが人気があるのは太った(ふくよかな)体にゾウの頭を持つという容貌のためでもあります。
 このお祭りのときには,日本の『御輿・山車・だんじり』にあたるような「ガネーシャの像」を地域で作ります。材料は,骨組みが木であとは粘土です。日本のそれと同じように,像の大きさやデザイン,色使いなどを工夫し,見栄えがよくなるようにします。人々の視線を集めるような像を作ることが誇りとなります。
 お祭りの最終日にはそれまで地域に飾っていたガネーシャ像を流すために海(アラビア海)に運びます。小さいものは人が抱えて,大きいものはトラックの荷台に乗せて。爆竹を鳴らしたり,歌を歌ったり踊りを踊ったりしながら,ゆっくりゆっくり海まで運びます。最終日の海は,像を運んできた人達と,見物人とで海沿いは身動きがとれないくらいになります。
 
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 ガネーシャのお祭りはインド人のお祭りなので,学校でもやっているものも紹介します。それが,「ホーリー」という水をかけ合うお祭りです。勿論,インドのお祭りの一つで,ホーリーが近づくと道を歩いていても,どこから水が飛んでくるかわからないので,油断ができません。水のかけ方は,『水鉄砲でかける』のと『マンションから色水の入った風船を投げつける』のと2通りがあります。気をつけなければいけないのが風船の方で,一度ついてしまうと色が落ちないので,ホーリーが近づくと外出するときには,捨ててもいいような服を着ていました。
 学校でのホーリーは,ゴミ捨て用の大きなポリバケツ10こくらいに水をためておき,校庭で子どもたちと教員とが一緒になって水をかけあいます。インドのホーリー同様,『無礼講』です。最新の水鉄砲を使う子もいますが水をためるのに時間がかかって,その間にかけられてしまうので,ペットボトルの下半分をコップのようにして水をかける単純な道具の方が効率はいいです。
   この行事は3月に行います。担任の先生に「ありがとう」という意味を込めて水をかけに来る子。逆にクラスの子に「よくがんばったな」という意味を込めて水をかける担任。かけたりかけられたりはいろいろですが,3年目で帰国する教員や3月に帰国が決まっている卒業生や転出生が特に手荒い攻撃を受けることになります。ボンベイ日本人学校にとっては,一年で一番楽しい行事の一つでもあり,一年の終わりが 近づいたことを感じる行事です。