大海研だより No20

 
 発 行   大阪海外子女教育・国際理解教育研究会

 発行日   2003年(平成15年)10月18日(土)

 連絡先   会長 増田生紀男(四條畷市立四條畷南小学校

                電話:072−876−1113)

〈近畿ブロック国際理解教育研究会・大阪大会にようこそ!大阪から発信する国際理解教育の取り組みを基に、各府県海研のアイデアを交流し、21世紀の幕開けに相応しいより充実した内容を創造していきましょう。よろしくお願い申し上げます。〉

9月13日の『帰国報告会』に約30名が参加!

           

大海研の本年度第1回目の活動である恒例の『帰国報告会』を、本年3月末に帰国された5名の先生方からの生活体験や実践報告をしていただく機会として、去る9月13日(土)に大阪市立西中学校の多目的室を会場に行いました。派遣予定者の先生方やこれからチャレンジしようと考えておられる先生方など約30名が集い、民族衣装を着て話をする報告者や、パソコンを使って現地の映像を紹介しながら話をする報告者など様々な工夫があり、また、参加者からはいくつもの質問や感想が出され、熱のこもった帰国報告会になりました。5人の報告者の皆様、ご苦労様でした。

資料と当日の様子はこちら

  報告者    *前イーストテネシー補習授業校校長

            ・現東大阪市立弥栄小学校校長   盛岡  弘さん

         *前サンチャゴ日本人学校校長

            ・現豊能町立東能勢小学校校長   元田 藤男さん

         *前ジャカルタ日本人学校教諭

            ・現池田市立石橋小学校教諭    久保 康子さん

         *前ワルシャワ日本人学校教諭

            ・現大阪市立三稜中学校教諭    梶原  衛さん

         *前シドニー日本人学校教諭

            ・現摂津市立第五中学校教諭     谷  嘉純さん            


全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会 2003年10月18日(土)

「第14回近畿ブロック国際理解教育研究会・大阪大会」の成功を共に! 

 大会主題
『21世紀に拓く、
    ときめき ひらめき ひびきあう』

   〜違いを認め共に育ち合う子どもたち〜

 《基調提案》…………………………………………………… 大海研事務局

  「違いを違いとして認め合い多文化共生の豊かな人間関係を築こう!」 これは大海研のスローガンです。「違いを理由に他人を不当に排除する」といういじめや差別の意識がまだまだ根強く残っている社会状況を反映して、子ども達の間にも大人達の間にも多くの人間関係に関わる問題が見られます。世界に目を向ければイラク戦争をはじめ世界各地で人が人の命を奪う戦争や紛争が後を断ちません。

   ところで「国際理解教育」というアイデアは、第二次世界大戦後、世界中から戦争を無くす為の手段としてUNESCOで提唱されたとされています。「戦争は最大の差別」と言われますが、「差別し排除し合う関係」の反対は「豊かな人間関係」です。「国際」という概念には、国、民族、言語、文化、宗教等が異なる人間の営みが、現に地球上に展開されていることを示しており、また、「理解」という概念には、それらの人間同士が、人類の共通の課題 ―― あらゆる戦争の問題、民族や宗教の対立の問題、テロの問題、病気や貧困の問題、核の問題そして地球上のあらゆる環境問題 ―― に気づき、それらを解決していくことが全人類の共通の課題であると理解する必要性を示しているということではないでしょうか。

   最後の「教育」は、何を示しているのでしょうか? それは「国際理解」を主体的に担う人材を育成するということです。私たちが近畿各府県のそれぞれの地でそれぞれの学校や地域で営む国際理解教育が、そのような人材の育成に繋がっているのでしょうか?

   この大阪大会で提起致します四條畷市立四條畷南小学校の授業の試みは、一つの問題提起に過ぎませんが、あらゆる教育の深化は、このような小さな試みを積み重ね、検証し、さらに工夫を加え、より子ども達にインパクトを与え、考える機会を与え、関心と意欲と意識を高め、やがては自らの意志で主体的に行動する力を身につけていけるよう見届けていく作業を、継続していく必要があります。これは、大変意義と価値のある大きなプロジェクトです。多くの先生方が主体的に参画し、保護者や地域の方々の支えを得ながら、様々な地域で実践と研究の輪を広げていく必要があります。子ども達が感動体験を通して、世界へ視野を広げていくよう、内容を充実させ深めていく必要があります。

   「国づくりは人づくりから」と言われるように「平和な世界づくりも人づくりから」なのです。勤勉さ、根気強さ、親切心、誠実さというこの国人々の本来の良さを身につけた国際人の育成が、これから益々、日本という国における「国際理解教育」が担っていくべき本質的な役割であることを共に確認し合いましょう。そして益々複雑で混沌としている国際社会ではありますが、困難な状況にたじろぐ事なく、自分の周囲の人々と、そして世界の人々と手を携え合いながら、平和な世界づくりに貢献できる人材を共に育てていきましょう。

   以上が今大会のテーマを「21世紀に拓く ときめき ひらめき ひびきあう」とした所以です。また、これからのシンポジウムでは「21世紀を生きぬく子どもたち ―― 「伝え合う力」を育てる ―― 」というテーマで実施致しますが、このテーマも、人と人とが繋がり合うためのコミュニケーションの力を子どもたちに養っていくために、私達、国際理解教育に携わる者は、日々どのように取り組む必要があるか、共に考える貴重な機会になるものと考えました。

   また、今大会は四條畷南小学校の子どもたち、先生方、PTAの皆様に大きく支えられて開催ができたことを確認しておきたいと存じます。また、様々な分野からのゲスト・ティチャ―の皆様にもお力添えを頂きました。併せて心より感謝申し上げます。国際理解教育の世界では、このようなことが特別なことではなく、どの地域においても行われている取り組みになっていくことを願っております。短い時間ではありますが可能な限りお互いの考えを交流し合い、少しでも実り多い大会となるよう切に願いまして、基調提案とさせて頂きます。