発 行 大阪海外子女教育・国際理解教育研究会(大海研) |
開会行事では、まず会長の藤内博が派遣制度の始まりや大海研の歩みを紹介しました。 来賓あいさつでは、 |
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(写真は上段左から藤内会長、梶谷府教委参事/ 下段左から山下教育相談員、熱心に聞き入る参加者の皆さん) |
前ロサンジェルス補習授業校校長 現八尾市立龍華中学校萩原省三校長 |
前本校日本人学校大埔校校長 現摂津市立千里丘小学校上田龍之校長 |
前フランクフルト日本人国際学校教諭 現堺市立はるみ小学校木谷朱音教諭 |
(ホワイトボードには「現地での仕事」、「現地での生活」,「選考試験について」の |
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〈現地での仕事〉 派遣教員を目指す,あるいは実際に行くにあたって身につけておくべきことは? ・柔軟性とガッツである。 ・人の考えを受容するとともに,自分の考えを主張し伝えていく力。 ・体力である。 教員免許状と実際の仕事、分掌との関連 ・基本的には所有免許状に基づく指導を行う。 ・専門外,小中学部にわたる指導は赴任校の実情によってよくあること。 ・国語,数学(算数)の優れた指導力が基本である。(とりわけ補習校において) 職員間の意思疎通はいかにあるべきか ・派遣教員間のコミュニケーションが取れていることが仕事を行う上での基本。 ・協調性は必須。オープンでフランクな姿勢。 ・派遣教員と家族,派遣教員の家族間の意思疎通も大事。 ・配偶者であり保護者でもある立場をわきまえることは肝要。(特に学校の内部情報 を知りうる妻でありそれを知りたい人とのつきあいもせざるを得ない母でもある) ・仕事上の資料やデータを共有し,引き継いでいく態勢はできているはずである。日 本での仕事の3倍速で仕事は進む。しかし,それが出来る人ばかりでできている集 団であるから,やり甲斐があるし充実している。 <現地での生活> 起こりうるトラブルとそれへの対処法 ・医療,治安の不安はある。しかし,これまでもそこに日本人が住んできている。 ・近所づきあいと,同僚の支援で乗り切ってきた。 ・交通事故の処理は骨が折れる。保険に入っておいてよかったと思うことは多か った。 ・自家用車がなくては話にならない学校もあれば,使ってはならない学校もある。 ・文化の違い,「警察」というシステムの持つイメージの違いに慣れる必要もあ った。 ・家族の病気などによる緊急な帰国について,今は校長決裁で可能。旅費は自弁。 (高額だがそれをカバーする保険もある。) ・「不健康地」と認定された地域へ派遣された場合は一定の配慮がされる。 子どもを帯同する場合 ・医療については,既にそこに日本人が住んでいるから日本人学校があると考えれば 何とかなる。ただし,概して医療費は日本より高額で入院すると日数×10万円は よくあること。保険加入がものをいう。 ・学費について若干の手当が出るが,日本人学校は私立学校ゆえ月3万円位は必要。 在任中子どもが,特に高校生の年齢に達するならば帰国子女教育財団に相談すべし http://www.joes.or.jp/educational_consultation.html 予防接種について ・現地事情によって,またその時々によって様々。かかりつけ医に相談して予防接種 実施の可否を知るなどの心の準備を進めた上で,1月末のオリンピックセンター研 修時に手に入る現地からの指示に即応するというのが理想。各人の予防接種歴は( 大人も)母子手帳などを参照して答えられるようにしておくこと。 貯金は必要か ・あとで戻ってくるとはいえ,赴任当座3ヶ月分の生活費が必要。自家用車の購入費 も用意すべき。(参加者の経験では,余裕を見て大人一人300万円程度か。) ・家賃のデポジット:預かり金(3ヶ月分〜3年間分)の立て替え払いは額が大き い。 ・現地手当は,当地の物価相応。贅沢さえしなければ衣食住の費用は賄えるが医療費 や旅行費用などは日本から送らないとままならない。 <選考試験> 派遣決定までの過程 ・5月中旬各所属校へ文書告知(学期始め+連休明けだから事前に申告しておく必要 あり)。一週間で希望者の氏名報告。6月初旬試験実施。夏に文科省面接。年末ぎ りぎりから1月末の間に合否通知(次年度文科省予算の決定時期に左右される)。 管理職は12月末で職を解かれる。1月末オリンピックセンター研修。管理職は3 月中・下旬に赴任。教諭は4月第1週末頃に東京集合後,成田から赴任。 ・近隣の派遣教員経験者に聞くのが早い。(分からなければ大海研に連絡を) 派遣先の選択は可能か ・原則的には可能だが,希望とは全く反対の結果だったとはよく聞く話。 論文試験対策は ・教育に関する時事問題について,どうとらえ,自分はどうするのか,それは現地あ るいは帰国後接する子どもたちへの教育にどう寄与するのかを,実践経験を基に, 1問ないし2問,B4表裏に,50分以内でまとめ上げる力を。 ・学級・学校通信が一定時間内にすらすらと書けるならば安心。 面接試験対策は ・質問の趣旨に対して簡潔に答えられること。 ・日本での教育にどう貢献するつもりかを語る。(私のためにという文脈ではなく) ・現地での教育:現地の子ども,保護者のニーズに対してへの貢献が語れるか。 教員としての履歴の問われ方は ・即戦力である,即ち実践力を持ち研究実績もある人が期待されている。 ・スポーツの指導,日本文化の紹介等の特技があると自信につながる。 即派遣と次年度派遣との違いは ・即派遣ならばオリンピックセンター研修直前に意思確認がある。「○○へ行ける か。明日までに返事を。」という具合に。 ・「大阪の先生はよく間に合う」という評価を頂いている。(府教委梶谷参事より) その反映として大阪への即派遣者の依頼も起こってくる。 |
松下副会長が「本年度の派遣教員二次面接から」ということで、面接官を担当した立場からアドバイスをしました。「派遣教員の役割をきちんと把握しておくこと。」「自分のためでなく、在外で生活している子供たちにどのような教育をするつもりか。また、どのような学校づくりに貢献しようとしているのか。」その点での熱意を簡潔な言葉で表現できるように準備することの大切さを強調しました。 | |
最後に、大阪府教育センター教科教育部カリキュラム研究室で国際教育を担当されている稲葉剛指導主事から、本研修会についての心温まるご高評をいただきました。 |
参加者の皆様から頂いた評価と感想文 |
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5:とてもおもしろかった ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (18) 4:おもしろかった ☆☆☆☆☆ (5) 3:おもしろくもつまらなくもなかった☆☆☆ (3) 2:つまらなかった (0) 1:とてもつまらなかった (0) *平均値約4.6,中間値5 100点換算で92点になります。「途中,声が聞こえにくいことが 時々あり,マイクがあるといいと思いました。」という声がありました。今回70名を超 える方にお集まり頂きましたが,かつてない大人数で心配りが行き届きませんでした。 *しかし,「声を大きくしてください。」という意見が出るのはさすが大海研です。その 意気ならば他文化の地でもやっていけます。 <ためになったか度>の5段階評価 5:とてもためになった ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (21) 4:ためになった ☆☆☆☆ (4) 3:なんともいえない (0) 2:よくわからなかった (0) 1:ぜんぜんわからなかった (0) *平均値約4.8,中間値5 100点換算で96点にもなります。「生活よりも現地の学校や 指導で思うこと」「現地の子どもたちとの交流の話」「個別に話を」という声もあり ました。 かつての研修会はいわゆる「リピーター」の参加が少なく,総花的な概論を提供する か,話し手の話したいことを聞いてもらうということになりがちでした。そこで「参加 者の聞きたいことと話し手の伝えたい思いとをつなげる」ことを目指し<積極的な自己 表現と学び合い>をテーマとした研修会を企画したというわけです。 *今後は,事前に「参加者の聞きたいことを知った上で,それをふまえて体験を語る」 という形態を追求してみようと考えています。 *もっと個別具体的な話を聞きたいとお感じになった方は,ぜひ本会の「帰国報告集」を ご覧ください。(会員になっていただいた方にはお届けします。)生の声で聞きたい話 については,メールでお問い合わせください。また,「全国海外子女教育・国際理解教 育研究会」や「近畿ブロック国際理解教育研究会」の分科会にご参加ください。きっと ご要望にお応えできるはずです。近いところでは12月1日(土)に和歌山で開催され ます。詳細は以下です。http://www.zenkaiken.net/Block/kinki/2007annai.htm過去の発表要旨は ネットでも検索できます。 |
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感想文 (おも5,ため5)は(おもしろかった度5,ためになったか度5)を示します。 |
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具体的な生活の,よかった所,困った所などを詳しく聞けたから。 |
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◇「派遣予定者研修会」のお知らせです。 |
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◇「近畿ブロック国際理解教育研究会和歌山大会のお知らせです。 平成19年12月1日(土) 午後1時〜 和歌山県橋本市の教育文化会館 (和歌山県橋本市東家1−6−27) 電話番号0736−32−0034 本年3月末の帰国教員である交野市立第三中学校の大隅昌之教諭がニューデリー日本人学校での実践発表 をします。ご参加の方は事務局の佐々木までご連絡下さい。 (池田市立緑丘小学校072−753−2876) |
◇「帰国報告集(第10集)」を一部500円(送料別)で注文を受けています。申込みは 松下副会長までお願いします。(大阪市立神路小学校 電話番号 06−6981−2112) |
◇「シニア派遣」が始まっています。お問い合わせは上記事務局の佐々木までお願いします。 |