平成21年度以降の在外教育施設派遣希望者研修会のご案内
−帰国間もない教員から派遣希望者の方々へホットで具体的なアドバイス−

派遣希望者研修会での質問とその答え
                  (これまでの研修会で出たやりとりは割愛しました)

<現地での仕事>

「日本の3倍の仕事量」という話があったが,その具体例は?

・何といっても授業力は試される。教材づくりや,学級通信の発行などはきちんとできて当たり前。そうでないと時間があって教育に関心の高い保護者(労働ビザの関係で両親が働いているということは例外的)のめがねには,到底かなわない。

・大規模校では,校内LANを使って文書提出をしたりする。その入力操作に時間がかかった。また学級数が多いと連絡調整に時間もかかる。

・仕事のよくできる仲間と進める取り組みなので,短時間で的を射た会議ができる。

・派遣者の互助的な活動(レクリエーションなど)も校務分掌として位置づけられていた。派遣年次によってさまざまな役割をこなすことになる。

・しかし,生徒指導上の問題や,納付金の督促のような雑務はほとんどなく,授業に直結し子どものためになる仕事に集中できた。忙しくても精神的には楽だった。

職員室の雰囲気は?

・基本的に助け合う雰囲気で,和やかである。

・校長の持つ雰囲気によるという話は聞いた。

日本語の力を高めるための補習校での実践の具体例は?

・家庭との連携すること。読書(民話の読み聞かせなど)には力を入れてきた。

・日本語の力が十分ではない子どもたちのためのクラスを作ったりもしたが,日本と同等の教育を受けさせたいというのが保護者の基本的なニーズだった。

安全管理は?

・スク−ルバスの運営は安全に直結するすることだから随分と気を遣った。

・地域の実情に応じたさまざまな訓練は欠かさなかった。しかし,神経質になりすぎない方がよい。そこに日本人の子どもがが住んでいるのである。

日本文化を伝えるとは?

・やはり何かの特技を持っていると自信となる。現地の人々との交流のきっかけにもなりやすい。

・日本の学校の校務分掌で鳴子踊りの指導に力を入れてきた教員が,今現在,赴任校で全校を巻き込む実践を展開している。指導力が子どもたちを愉しませる事に直結している好例だ。

専門教科以外の指導の実情は?

・学校規模による。小・中規模校なら,中学校教員が小学部で教えることや学級担任になることは十分にあり得ることである。しかし,それはお互いに助け合ってやっていけることだ。

教材の準備,PCの調達は?

・学校によっては一人に1台ずつ支給されることもある。

・これについては派遣前に現地の先輩教員から詳細な「赴任の手引き」が送られてくるので参照されたい。

<現地での生活>

休日の過ごし方は?

・家族で過ごすことが多く、絆は強まった。

・健康管理に気をつけ、ジム通いをした。

・長期休暇中には海外旅行も楽しんだ。学校長の裁量で渡航許可を出せるようになり働くときはしっかり働き,休みは十分に休養するということができた。

・学校によっては,「職員の1/3は何時でも1日以内に学校に集合できるようにする。そのため派遣初年度は任国以外の旅行は慎む」とか「任国外の旅行は3ヶ月に1度までとする」等の申し合わせをしているところもあるようだ。

現地語の習得の様子は?

・週2回は現地語の講習を受けなければならなかった。

・やはり,現地での交流には欠かせないが,前年度の派遣者や現地スタッフがお世話係になって手助けをしてくれるので,派遣後即必要なわけではない。

夫婦にで行って働けるのか?

・基本的に労働ビザがなければ働けない。

・学校規模によっては指導補助を務めてもらえる人があるのは助かるが,他の保護者との距離感が難しくなる。学校長の判断に任せるのが賢明だ。

準備金の実態は?

・一人300万円用意した人もあれば,100万円で何とかする人もいる。

・赴任してすぐは,何かと立て替えるお金がいる。しかし,いずれは手元に戻ってくるお金でもある。借りても返す当てがあるからあまり神経質になることもない。

・最近は国外からでもネットバンキングができる。

帯同する家族については?

・子どもの日本語については,帰国当初「?」と思うこともある。

・家で本を読んで聞かせることを心掛けた。

・むしろ自分の子どもを同僚に担任してもらったり,自分自身が担任したりすることの方が気を遣う。かといって,それを避けるために日本人学校の教員が自分の子どもを他校に通わせるようでは,学校の体面が保てない。

・出国までにできること苦労したことといえば予防接種か?いろんな人の協力を得ながら,とにかくやり切ったという感がある。

日本の家はどうしたのか?

・選択肢は3つしかない。売るか,貸すか,置いておくかだ。それぞれのノウハウはある。経験者に聞くこともできるが,最後は自分で決めるしかない。

・ローンを払い続けながら貸すこともできる。1軒屋なら家具を2階に押し込んで1階だけ貸すという裏技もある。最近はトランクルーム:家具用の空調の効いた倉庫も借りられる。早々に売るか貸すかしてしまって,しばらくは賃貸住宅に住むという手もある。

日本語教師としての派遣は?

・JICAへ相談することができる。

<選考試験>

面接後の合否の可能性は?

・今回の研修でのやりとりと,自分自身が話したことと比べて考えてみてはどうか。

・受験回数の影響は何とも言えないが,7回目に合格したという人はいた。

現地採用,財団派遣,文部科学省派遣の違いは?

・文部科学省派遣派遣者は,(その国との国交関係によるが)公用旅券を持つ外交官に準じる立場である。責任もステイタスも違う。他の方の指導に当たるという任務を任されることもある。

経験年数の数え方は?

・講師経験は含まれない。

独身男性の採用は難しいのか?

・最近は25才での派遣という例も聞いた。30代の中堅層の総数が少ないために,若年層の派遣が増える傾向にあるといえよう。受験のチャンスである。

英語科教師の採用は?校種教科での違いは?

・現地での必要数による。

・現地スタッフが英語を教えることが多いが,仕事はちゃんとある。

余談だが・・・

今回,持参していただいたデータが開けないというトラブルがあった。制作者の折角の苦労が実らない,とても残念なことだった。発表者が機転を利かし,スライドの一覧をプリントアウトして持参していたので最悪の事態は防げた。しかし,教訓はある。

例えば最新のアプリケーション:PowerPoint2007で作成したデータは,残念ながらPowerPoint2003以前のバージョンで開けない。保存して持ち出す時は,以前のバージョンでも開けるように設定を変えるか,PowerPoint2007 Viewerもダウンロードして持参し他の環境でも開けるようにしておくとよい。編集はできないが表示はできる。あるいは使ったPCそのものを持参する。要するに自分の身を自分で守るのである。

より高い視点から覧て自分の環境はどういう位置にあるのかを知る。他所は自分の日常とは違うかも知れない,という自己の状況を客観視する視点は,他文化で生活する上で不可欠だろう。

                                                                               以上


参加者の皆様から頂いた評価と感想文

<たのしかったか度>の5段階評価

5:とてもおもしろかった
     ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  (25)

4:おもしろかった                             ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  (11)

3:おもしろくもつまらなくもなかった                       (0)

2:つまらなかった                                               (0)

1:とてもつまらなかった                                (0)

平均値約4.7,中間値5 100点換算で94点になります。先回よりも2点上がり
 ました。

*「質問に答えるところでマイクを使ってほしかった。」という声がありました。進行係もそこに気付くべきでした。しかし,その声がその場で出ればお互いにニッコリできたはずです。双方向の交流を目指していただけに残念に思いました。

<ためになったか度>の5段階評価

5:とてもためになった
  
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆  (29)

4:ためになった                                      ☆☆☆☆☆☆☆  (7)

3:なんともいえない                                             (0)

2:よくわからなかった                                           (0)

1:ぜんぜんわからなかった                                      (0)

平均値約4.8,中間値5 今回も100点換算で96点にもなりました。

*報告をもっとじっくり聞きたいという声がありました。しかし,「土曜日の午後+3時間」という時間枠は参加しやすさを考えれば最大限と考えます。

*もっとたくさんの話を知りたいとお感じになった方は,ぜひ本会の「帰国報告集」をご覧ください。1冊500円です。(会員になっていただいた方には本年度分をお届けします。バックナンバーご希望の節はご連絡ください。多少は在庫があります。)

*研修会以外の時にも情報交換がしたいという声も頂いています。ホームページからメールでお問い合わせいただくことはできます。しかし,掲示板のような形で日常的に交流し合うこともできたらよいと考えています。大阪は派遣経験者が多い分,情報そのものはたくさんあります。セキュリティやモラル面での管理をどうするかが検討課題です。

*どなたかミクシィなどにお詳しい方,掲示板の管理についてノウハウをお持ちの方はいらっしゃいませんか?力をお貸しいただける方がありましたら,事務局までお知らせください。お願いします。

*帰国後の活動の見通しについての意見も複数頂きました。鋭いご指摘です。文部科学省自身もそこに問題意識を持ち,以前から学識経験者に補助を出しながら研究を進めているところです。しかし,身近に実践を知るよい機会があります。会場でもご案内いたしましたが,10月18日に姫路で行われる「近畿ブロック国際理解教育研究会」がそのことをテーマに掲げています。きっと,ご要望にお応えできるはずです。実施要項は,大海研ホームページをご覧ください。

感想文      おも5,ため5)はおもしろかった度5,ためになったか度5を
      示します。

・どの派遣を経験された先生もその経験を生かされて,日本でのお仕事をされているなぁと思いました。応募のために期間が足りませんがしっかりとあたため受験してみようと思います。(おも5,ため5)

・丁寧に質問一つ一つに答えてくださったので聞きたいことが聞けてよかったです。お三人の話が聞けたのがとてもよかったです。これから派遣に向けてがんばろうという気持ちが強くなりました。ありがとうございました。質問会ではマイクを使ってほしかったです。聞こえなかったです。(おも5,ため5)

・私の知らない情報をいくつか知ることができてためになりました。行かれた方の熱い思いを聞くことができ,よかったです。(おも4,ため5)

・具体的なお話が聞けてよかったです。(おも4,ため4)

・報告時間が少し短く感じました。もう少しゆっくりと聞きたかったです。質問タイムは声が小さく,聞きづらかったです。次回は常にマイクを使うようにしてください。/「行ってよかった」という本人の感想はあるでしょうが,この経験はどんな風に,今後周りに伝え,いかせるのかが気になりました。経過を追ってまた報告を聞きたいです。/佐々木豊さんの“熱い言葉“とてもよかったです。気持ちが伝わりました。(おも4,ため4)

・具体的な内容が聞けてよかったです。質疑応答ではマイクを使ってほしかったです。ありがとうございました。(おも5,ため5)

「行きたいな,行ってみたいな」という軽い気持ちが,今日の研修会に参加させていただいて「二年後の今は必ず海外にいる」という強い気持ちに変わりました。絶対行きます。おも5,ため5)

・今年,6月に初めて派遣にチャレンジするため受験しました。残念ながら不合格だったのですが,また来年がんばろうという気持ちになれました。(おも5,ため5)

・実際に体験されて得たことをお話しされたのですごく勉強になりました。日本人学校はすごく憧れでしたが,たくさんの人が目指しておられて,がんばろうと改めて思いました。ありがとうございました。(おも5,ため5)

・最後に大変心強いお話が聞けたから。(おも5,ため5)

・今まで三度受験しまして結果がなかなか出ないのですが,今日,体験談や質問の回答などを聞かせてもらい,また元気が出てきました。ありがとうございます。来年も受験して絶対合格して見せます!(おも5,ため5)

・今年度試験を受け,現在結果待ちの状態です。今回の研修に参加させていただいて是非合格したという気持ちがますます強まりました。詳しい情報を聞くことができ良かったです。本当にありがとうございました。(おも5,ため5)

・今年度派遣試験を受験し,今は,結果待ちをしております。今回の研修会で現地での仕事や,生活が,身近に感じられ,来年度に向けて何か今から行動できたらと思いました。本日はありがとうございました。(おも5,ため5)

海外派遣の話を初めて聞けたので,とてもためになりました。自分でも行って,頑張れそうだなと,元気をもらいました。おも4,ため5)

・ほぼ無知だったのですが,今回参加させて頂き,とてもたくさんの事を学ぶことができました。幼い子どもがいるので不安なこともありましたが,お話をお聞きし,不安がなくなりました。来年また受験したいと思います。(おも4,ため5)

・実際に派遣された先生の生の声が聞けたこと,聞きたいと思っていた質問に答えていただき本当にためになりました。これを生かして是非自分も在外教育施設でがんばりたいという気持ちが高まりました。(おも4,ため5)

・派遣先での様子を知る機会はとても少ないので,派遣された先生方の話が聞けて良かった。(日々の授業にもっと力を入れて,授業力を高めていこうという,やる気を非常にもつことができた。)おも5,ため5)

・内容の濃い話を聞けてよかったです。最後の佐々木先生の話を聞いて改めて強く行きたいと思いました。(おも5,ため5)

・以前からずっと海外教育派遣について興味・関心があったので,とてもためになりました。ありがとうございました。(おも5,ため5)

・初めは正直“少し興味がある”程度で参加しましたが,いろいろなお話を聞かせていただき,もっと前向きに家族と話し合ってみようと思いました。ありがとうございました。(おも5,ため5)

・本当に聞きたいこと,知りたいことを聞くことができました。前よりもさらに行きたい気持ちになりました。お話しいただいた3名の先生方,このような場を設定していただいた大海研の方,ありがとうございました。(おも5,ため5)

・実際に活躍された先生方のお話が聞けて,現地での様子が想像できました。どの先生も現地での生活を「よい経験」として語られていたので,安心できる材料になりました。おも4,ため4)

・現地での体験を踏まえた生の声,情報が聞けて興味深かったです。家族のバックアップの重要性,苦労話もよく伝わりました。(おも5,ため5)

・HPやチラシではイメージできなかった具体的な内容を教えていただき,大変参考になりました。ありがとうございました。(おも4,ため4)

・海外の日本人学校の教育に興味がありました。そして今回の研修で現地の生の様子や今の取り組みを聞け,ますます,海外での教職を希望したくなりました。(おも5,ため4)

・他の場所や本などで聞けないような話を聞けたからです。手続きや現地の仕事などに関する解らないことに対する不安感が減りました。ありがとうございます。(おも5,ため5)

・自身の派遣に参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。(おも4,ため4)

・来年度の試験に向けて,情報を集めたりして,妻と相談を重ねています。今回の研修では,より具体的にお話をお聞きでき覚悟が決まってきました。もっと大海研のメンバーが増えて,情報交換ができるとありがたいです。現在は,他府県の先生からの情報が多いです。他府県の人間なのに親切に教えてくれます。是非,大海研でもネットワークを作ってほしいです。(おも5,ため5)

・今年度試験をして,今は結果を待っている状況です。あまりイメージできなかったことについて今回の研修会でより具体的に考えることができるようになりました。思っていた以上に各先生方が生活面仕事面での話を聞かせてくださったのがよかったと思います。今後も具体的な話をしていただけるととてもよいと思います。ありがとうございました。(おも5,ため5)

・教員になってこれ程,熱く追える夢を持った人たちに会える経験をしたのは初めてかも知れないぐらい貴重な経験でした。子どもに還元できることを改めて考えさせていただきました。(おも5,ため5)

・本日は貴重なお話ありがとうございました。退職して,ついて行くつもりでおりましたが,自分もやっぱり働きたい!!と思いました。(おも4,ため4)

・在外派遣に興味を持ち,家族とも話し合い,次年度から試験を受けようと決心しました。そのための大変内容の濃いお話を聞けたと思います。(おも5,ため5)

・海外に行きたいという気持ちはあれど具体的に何をしたらいいのかわからず・・・といった状態でしたので今日の会はとてもためになりました。ノート4ページ分ぎっしりメモしました。()ありがとうございました!!おも5,ため5)

・これまではっきりわからなかったことを詳しく知ることができました。一度だけ受験したのですが,また,今後,必ず受験して海外に住む子どもに貢献できるよう努力したいです。(おも4,ため5)

・毎回この会に参加すると,海外での体験を日本の学校現場に生かしていく意義を感じています。できれば海外での体験や実践をどう生かせるのかについての研修 が持てればと思います。(おも5,ため5)

・@ニーズに合っていた。A具体的な話が聞けてよかった。B熱意が伝わった。/ご苦労さまでした。私も力を尽くしますので,指示をしてください。(おも5,ため5)

                                                                                以上

<事務局より>

参加者のおよそ6割から,上記の感想文をお寄せ頂きました。これまでで一番多いです。(先回は4割弱でした。)

皆様のご協力に感謝いたします。