本文へスキップ

東京都海外子女教育・グローバル教育研究会は国際理解教育・帰国子女教育・海外子女教育の研究・実践を目的とした東京都の認可団体です。

JICA教員海外派遣研修HEADLINE

JICA教員海外派遣研修に参加しました。

今年度7〜8月にかけて、本会の会員が二名、研修に参加し、モンゴルはウランバートル、タイ王国はバンコクに赴きました。中学校、高等学校や障がい者施設、特別支援学校などに訪問し、二か国の現状について学んできました。

   
   
   
   
   
 
 
 
  タイ研修報告

 児童生徒に伝えたいこと、考えてもらいたいこと〜

 「なぜ国際協力が必要なのか」について改めて、生徒とともに考えていきたい。今回の海外研修では現場に行ったからこそ見えた現実を見ることができた。例えば、浄水場については、上下水道技術が国内で100%普及していないことや浄水システムが整備されていても配管等が衛生的でないために安全な水が供給されず感染病や体調不良の可能性を高めてしまっていることを学んだ。またAPCDサイトでは、「障害者が世の中を変えていく時代」といった高齢社会も障害社会も見方を変えて考えていくことの重要性を学ぶとともに日本との共通点や相違点を分析することができた。このような現実に直面したことで、そのコミュニティにおいて何が求められているのか、或いは求められる支援とコミュティ住民の意識の差に国際協力の在り方と難しさを痛感した。
 この経験から生徒には、「日本の常識が世界の常識ではない」ことを伝えていきたい。社会科授業の中では、今自分が置かれた環境や国際社会での日本の立場を歴史との関わりから理解させ、さらには東日本大震災で多くの支援を諸外国から受けたこと、世界との関わりの中で日本が成り立っている、島国日本は世界との関わりがないと成り立たないことも同時に伝えていきたい。そして、「現場」に向かうことだけが国際協力の形ではなく、例えばフェアトレード商品の存在を知り、消費者として購入する行為や、購入した商品が企業を動かすことなど身近で誰にでもできる、中高生にでも実践可能な「国際協力の形」も教えていくことで、国際協力が「誰にでもできる」存在であることを伝え、5年後、10年後に日本と世界をつなぐ人材を育成していきたい。

 〜海外研修全般に関する所感〜

 私は今回、テーマを「当事者意識」に設定し、10日間の研修に参加し、主に二つの気づきを得ることができた。
 一つ目は、自分が「教材」になることの大切さである。「百聞は一見にしかず」ということは、このことであると痛感した。普段は、教科書を中心に世界の問題について生徒と共に考えるものの、生徒にとっては、やはり「世界の問題」であって「自分の問題」に落とし込んで考えることができていなかった。このギャップを少しでも埋めるためには、自分が「教材」となり、自分の目で確かめた現実を、教科書では語れない真実を伝えていくことが必要だということを実感できた。
 二つ目は、「これからの私」について深く考えるきっかけになったことだ。私は将来的に「現職教員参加制度」を利用し青年海外協力隊員を志望している。10日間だけでも多くのことが学べたが、10日間だけでは学べない現実もたくさんあるに違いないと感じている。様々な人種、性別、宗教、コミュニティに寄り添い共に時間を共有していくことで、多面的な見方や考え方を獲得できるということを今回の研修を通して確信している。またそうなることが、人間としても教員としても、日本の社会に貢献できることだと考えている。
 それらのことに気がつけただけでも、今回の教師海外研修に参加できたことは大変意義のあることだったと思う。このような機会を与えてくださったJICA関係者の皆様、所属校の職員の方々に感謝を申し上げたい。そしてこの経験を必ず生かせるよう日々の教育活動に精進していきたいと考える。

新島村立式根島中学校
教諭 高田裕行


バナースペース

東京都海外子女教育・グローバル教育研究会

〒183-0032
東京都f府中市本宿町1-37
(府中市立府中第五小学校内)
042-361-9005