トビタテ!教師プロジェクト

 

                               文部科学省初等中等教育局国際教育課長  小幡 泰弘

                                                     

                                                            

107号巻頭言(2018年4月23日発行)
文部科学省では、世界50か国以上にある日本人学校や補 習授業校へ約1,300名近い教師を派遣し、国内の学習指導 要領に沿った教育を行っていただいています。  国内から派遣される教師は、主に各都道府県の教育委員会 から推薦を受けた教師であり、異文化の中で日本では得られ ない貴重な体験を積むことができますが、これらの知識や経 験を帰国後に活用いただける環境を醸成するため「トビタ テ!教師プロジェクト」(平成29年8月)を打ち出し、現 在取り組んでいます。  具体的には、日本人学校などの在外教育施設への教師派遣 の魅力を高めるとともに、在外教育施設を活用してグローバ ル教師を戦略的に育成するものであり、「派遣前」「派遣中」「派 遣後」という3段階で進めます。  派遣前には、例えば、2020年小学校3、4年生での外国 語活動導入、5、6年生での外国語教科化を踏まえ、英語圏 の補習授業校や日本人学校に小学校教師の英語力強化を目的 とした派遣を行うこと、外国人の集住地域から推薦のあった 教師を当該地域で高く占める外国人児童生徒の母国へ派遣す ること、将来正規教師を目指し国内の臨時採用教師等として 活躍する方々を「プレ枠」として派遣することのほか、姉妹 都市やオリンピック・パラリンピックにおけるホストタウン

等の交流を図る国や地域への優先配置などを実施します。  派遣中については、派遣教師の在外教育施設勤務中の評価 制度を改善したところであり、教育委員会との連携強化を通 じて、帰国後の評価にも反映できるよう促しているところで す。また、在外教育施設の有する様々な特性を活かし、より 高度なグローバル人材を育成することを目的として取り組む 「在外教育施設の高度グローバル人材育成拠点事業」(平成 29年度〜)では、@小学校英語教育プログラム、A日本語 教育プログラム、B学校採用教師指導力向上プログラム、C 補習校日本語能力向上総合プログラム、D日本文化発信拠点 プログラムを開発し、その成果を国内外に普及、発信してい きます。研究提携校に派遣された教師は、帰国後グローバル ティーチャー(GT)の最前線としての活躍が期待されます。  帰国後については、帰国教師が在外教育施設での経験を積 極的に発信できる環境を整備すべく、優秀な教師の表彰や教 育実践事例の発表を行うフォーラム開催等を行う予定です。  在外教育施設の教育環境のより一層の充実に加え、本プロ ジェクトの一つ一つの取組を有機的・機能的に連携させるこ とによりGTの育成を戦略的に進めていきたいと考えていま す。これから派遣される教師の方々には、学校のグローバル 化の推進役を担っていただくことを期待しています。