求められる派遣経験教師の活躍

       NPO全海研・副会長 滝 多賀雄

88号巻頭言(2009年1月10日発行)
 昨今の日本国内の教育への期待は「授業時間数を増やすべきだ」という国民が半数以上というアンケート集計も出てきています。教師側からすればこんなに忙しい中なのに、まだ授業時間数の増加に対応しなければならないのかと思う方々が多いことと思います。これも立場を変えて見ると理解できなくもありません。
 授業時間数増加への要求に対して、海外派遣教師は既に経験済みです。在外教育施設で1日7時間授業、中には、1日7時間通しての授業を経験された方々もいると思います。この際の経験を語り討論を進行する必要もあります。
 ここで、派遣教師の経験は、日本国内にだけにいる教師とどんな違う経験ができたのか具体的に考えてみたい。 
@「47都道府県出身教師と一緒の仕事。」
 行事の立案開催方法、役務への認識の相違、会議開始内容の相違、小中職員一緒の会議、派遣年次間交流等。 
A「日本人として国を意識する生活。」
 現地での見られ方、他国民との同一視への反発、国批判イコール個人批判等。 
B「違った文化の中で生活。」
 異端視される自国文化、尊敬される自国文化、習慣の違いからのストレス、習慣からの優越感等。 
C「家族一丸の生活。」
 社会環境からの単独行動の難しさ、家族単位での行動、労働時間制限の徹底からの家族生活の違い等。 
D「母語以外の言語習得が必要である生活。」
 日常生活用語習得、コミュニケーション確保の重要性等から。 
E「危機管理を意識する生活。」
 政治的国家意識、民衆からの目の意識、生活様式の違い財産権意識、宗教意識、等。 
F「日本を代表し活躍する人との交流」
 国家対応意識の人々との交流、文化人との交流等 
G「世界で活躍する人との接触」
 物資移動に伴う関係者との交流、世界先端技術者との交流、技術労働指導者との交流、現地文化人との交流、芸術文化人との接触等。 
H「上昇志向の強い方々との接触」
 保護者としての海外滞在者、教育対象の児童生徒、日本文化への強い関心者、帰国後の活躍も視野の教師。 
I「公私のない生活」
 教師関係者の発言、日常生活空間の共有、 
J「努力する児童生徒」
 語学習得・学力向上に努力する児童生徒、 
K「学校経営者との接触」
 シビアな経営感覚者との接触、教育分野への認識の再

確認等。
これらの経験は、教師として大変すばらしい貴重なものです。
 世界各国の学力ランク付けから端を発した教育問題から学校現場の変化が求められています。
 この問題について海外教育施設ではいろいろ以前から対応していました。
 例えば、小中一貫教育では、殆どの日本人学校が小中一貫教育が行われ、教師集団も小中掛け持ちで教育を推進しています。それに伴い、小中教育内容を教師集団が「吟味」し「精選」も図られています。
 その教育経験からいろいろなアイデアが生まれます。
いま、小学校で始まっている「外国語活動」についても、海外教育施設では「発足当初から全校児童生徒対象」に実践してきています。
 現在約12000人の派遣教師経験者が全国にくまなく配属されています。この方々は海外赴任中に「国際理解教育」「海外子女教育」「帰国子女教育」「外国人子女教育」「外国語活動教育」「日本語教育」「特別支援教育」等あらゆる分野を経験をしてきています。
 この経験を自信に積極的に学校現場で先導役として活躍されることを期待しております。
 国内学校現場にいるだけであったならば、通勤への服装など気にもしなかったことでしょう。しかし、世界で日本を意識し活躍する方々に接し、あらゆる場面で相手を意識し、TPOも考え行動しなければいけない大事さも実感されたことでしょう。
 また、多くの派遣教師にとって、私立学校感覚の「経済投資効果」を意識させられたのは初めての経験だったことでしょう。地域差もありますが、普段なら気にもしない「物品消費」にも、一段と意識したのではないでしょうか。
 また、一時は「帰国子女教育」も既に終わったという方々もいました。しかし、依然、帰国してきている児童生徒の中にはフォローアップを必要としている児童生徒がおります。海外の教育を少しでも知っている派遣教師であった皆さん、「手をさしのべて」帰国子女のフォローアップをお願い致します。帰国子女の中には、国会議員県知事、マスコミ等多方面で活躍されています。また、数年の英語教育で英検一級を中学三年生で取得した生徒
もいます。適切な教育は多くの道を開きます。
 派遣教師経験者の皆さん、今までの、多くの経験を本気で積極的に学校現場で生かす努力をする必要性があります。閉塞感に満たされた学校教育現場ではなく、夢と希望を持たせられる学校教育現場にしていきましょう。